書評:終身旅行者PT 資産運用、ビジネス、居住国分散 ―― 国家の歩き方 徹底ガイド
終身旅行者PT 資産運用、ビジネス、居住国分散 ―― 国家の歩き方 徹底ガイド (現代の錬金術師シリーズ)
本書はずーっと旅人として生きる生き方について記している。と思いきや実はちょっと毛色が違う。
その肝は租税や天災リスクを和らげ何があっても全てを失う事を避けるにはどういった生き方があるのかといった趣旨と言える。
まず、本書で最初に述べているのは、今後考えられるリスクを織り込んで今生きているこの日本が今後どの様になっていくのか、3つのシナリオをシミュレーションしましょうと。
- 楽観シナリオ
- 普通のシナリオ
- 悲観シナリオ
この中で日本の天災リスクには以下のようなものが挙げられる。
地震、火山、台風、洪水、土砂災害
また、日本の構造からくるリスクとして
少子高齢化を述べている。
そうした中で、今後全てを失う事無く生きていく為には
- 居住
- 事業
- 財産
を国をまたいで分散していく事が重要である。
更に踏み込んで6つの旗(フラッグ)として
- 国籍を持つ国
- 事業を行う国
- 居住する国
- 資産運用する国
- 余暇を楽しむ国
- 寄付をする国
に分けてそれぞれ国を行き来して生きていくことを紹介している。
そのためにどういった国があるのかをページを割いて紹介している。
・・・これは普通の日本人にはハードルが高過ぎでは無かろうか。
まず普通の日本人は国籍、事業、居住は日本になってしまう。
出来ることは精々投資する国を日本以外にして、余暇を過ごす国を持っていざという時の為に慣れるぐらいが精々。
しかし、思考実験としては非常に興味深い。
我々は3.11を経験したことにより、この国は積み重ねたものを一瞬で失う事が起こり得る国であることを再認識した。
また少子高齢化社会は確実な状況において全員が豊かになれる国でもない。
その一方でこれから成長していく事がほぼ確実な国もある。
これをどう考えるかがポイントとなる。
以下私の私見になるが、日本から移動しなくても沿岸部から距離とれば津波の脅威は減らせる。
地震は津波と土砂崩れさえ避けられれば、日本の建築物であれば大きな被害を受けることは少ない。
他方、海外をみると震度4程度で壊滅する都市が多い。
地震リスクを比較する時に日本との比較においては単純比較すると見誤ると思う。
内陸部の程よい地方都市で地盤や土砂崩れの危険が少ない場所ならそこまでリスクがあるとは思えない。
熊本の地震でその前提が崩れたと言うかも知れないが、指摘のとおり震源地は厳しい。
ただ、震源地からある程度はなれれば被害はかなり小さくなる。
内陸部の地震は被害が局所的といえる