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書評:年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学について。

この本の主張はおおざっぱにいうと

  1. 年収には学歴より住んでいる場所の影響が大きい
  2. 情報化が進めば進むほどその傾向は加速する
  3. 地方都市が化けるためには吸引力の強い企業家が必要

例えば、東大卒の学生が過疎化の村で働いた場合と、高卒でアメリカ西海岸のスタバでアルバイトした場合、後者のほうが年収が高くなる。西海岸ではなく、六本木ヒルズあたりでも同じことが言える可能性が高い。

 

かつては情報化によって、立地の壁がなくなるなどということが考えられていたが、実際に起こっていることはその逆である。

例えば、下火になってしまったが、スマホのガチャゲーの制作会社は結局のところ東京に集中している。それは、要望に応えられる技術者が東京にしかいないから。

スマホゲーそのものは田舎でも作れるはずだが、それにこたえられる人材がいない。そのため、初めから選択肢から田舎が外される。

 

かつては、田舎の振興策の王道は製造業の誘致であったが、アメリカではかつて製造業でにぎわった町はラスト(さび)ベルトとよばれ衰退が著しい。デトロイトはかつて自動車産業で栄えたが、今では見る影もない。

日本においても、かつて製造業で栄えた町からかつての賑わいは消えている。夢よもう一度と、製造業を誘致し、仮に誘致成功しても、あっさりと海外移転してしまうのが現状。

一方で、繁栄している町、例えばシアトルは何故繁栄したのかという点について、本書では、ビルゲイツがシアトルに、何故か本社を構えたからと分析している。

その結果、様々なソフトウェア企業がシアトルで起業し、地場のコーヒー屋、スターバックスは世界企業になった。

などと考えると製造業誘致より旨い店誘致の方がいいのかもしれない。